あれから、26年。

写真提供:神戸市

1月17日。阪神淡路大震災の日です。神戸で生まれ育った私は、あの大きな地震に遭いました。私や家族は無事だったものの、家も大きく壊れ、子供の頃から見てきた街は、立ち上る炎に包まれていました。通学で使っていた阪急電車は線路が崩れ、おばあちゃんちに行くときに通っていた高速道路は柱が折れて横倒しになっていました。

写真提供:神戸市
私の地元の、鷹取商店街の様子。まさに360度このような景色でした。

解体勧告が出ていた我が家をなんとか補強補修工事で直してくれた、親戚の建築士のおじさん。「建築」という仕事が、ただ家や空間を作る、というだけではなく、こうして人の命や暮らしを守り、加えて、自身の知識や経験がこうした災害時に、誰かの役に立つんだ、ということを目の当たりにした出来事でもありました。建築の仕事をやってみたい、と思った高校一年生の冬でした。

あれから、26年。

仕事をしながら勉強する大変さを味わった一級建築士の試験。現場の職人さんとコミュニケーションが取れず一人トラックの中で涙しながら帰った日々。柱や梁を組み上げて、初めて家のカタチができる上棟に感動した日。「なかなかいい図面描くじゃない」とつぶやいてくれた職人さん。お伺いするたびに楽しく暮らしてる様子をお話してくれるお施主さんたち。日々の仕事のなかで多くのことを学ばせていただけています。

所属している全国木造建設事業協会で対応した、台風被災対応工事。
弊社でも数件工事を対応させていただきました。

縁あって千葉の地に来て腰を据えた私には、東日本大震災や、2019年の台風15号19号は、身近に起こった自然災害です。台風被災工事では、私自身が「一級建築士」として積み上げてきた知識と経験で、ほんのちょっとの方たちだけだけど、「誰かの役に立てた」と思える工事を何件か関わらせていただきました。大工さんや板金屋さんなど、多くの職人さんたちにも、知恵と尽力をいただけたこと、ありがたく思っています。

私が関われた方々はほんの少しの数だけれども、今まで培ってきたものを、少しは還元できていると、いいな、と思います。