阪神大震災。(そのさん)
地震が起きて数日経っても、救援物資は届きませんでした。TVのニュースでは、神戸の西の方に行く道路の被害がひどく、自衛隊の車両が通れないとのこと。私が住んでいたところは、神戸の西の方にあたる、須磨区でした。
そんななか、近所の「板宿商店街」だけ、何故か倒壊していないのです。その商店街の数メートルいったところにある古い住宅街は、全壊している建物がほとんどなのに、その商店街は、一件も倒壊していません。
インスタント食品や飲料などがあるお店は、救援物資がなかなか届かない地域のために、開店しはじめました。
その商店街の被害が少なかったために、救援物資が届くまでの間、地域の人はしのぐことができました。
「あの商店街だけ地盤がちゃうんかなぁ。おかげで物が手に入って助かったなぁ。」
実は、この商店街、地震が起こる数年前、老朽化に伴い、大々的な改装をしました。自治会の人が、建物調査を依頼したところ、地盤が悪いことが発覚。どうせ改装するなら、数百万円高くなるけど、しっかりした杭を打つことが調査会社から提案されたそうです。
自治会では、猛反対。
「関西で地震なんて、絶対おこるはずない。東京ならまだしも、神戸やで。ありえへんわ。だいたい、そんな見えへんところに、余計に使うお金の余裕なんて、どこにあるねん。」
という意見が大半だったそうです。近所に大型スーパーも出来、小さな商店街は経営状態が決して良くない状態でした。
しかし、「自分らの代だけじゃなくて、次の世代にも安心して残せる商店街にしよう。」という数人の説得のもと、地震対策を講じた商店街に改装したばかりだったのです。
阪神大震災は、「起こるはずのない」地域で起きた大きな地震でした。実際は、阪神地域にはたくさんの活断層がありました。「起こるはずがない」という過信ではなく、「起こったとしても、安全な建物、安全な街づくり」という考えが、こんな非常時の人々の生活を守るんだと感じました。
(続く)