阪神大震災。(そのに)
夜が明けるとともに、近くで、遠くで、火事の煙がいろんなところからあがっていました。
普段の火事がおきてるところがあると、野次馬の人だかり、これでもかってくらいに消防車がたくさん来てサイレンが鳴り響きます。
けれど、この日は、消防車が一台も見当たらない。
家のなかは、キャビネットが倒れて割れた父のウィスキーのにおいと、家々が燃えるきな臭いにおい。
私と弟は、どこかの避難所で水や救援物資がもらえるかもしれないと、近所の避難所を廻りました。コンビニやパン屋のショーウィンドーは割られ、水や食料がなくなっています。住宅街に入ると、ヒビひとつ入らず、地震前となんら変らずに建っている家もあれば、ぺっちゃんこに崩れている家もあります。それが古いから、とか、新しいから、とか、そんなの関係なく。
命が助かるか、助からないか。助かっても、その後自宅で生活できるか、避難所で生活しなければいけないか。今までなにげなく過ごしてきた「家」というものが、いかにシェルターとしての役割を果たしているか、感じずにはいられない光景でした。
(続く。)