「ウッドショック」、のお話。

まだまだコロナ禍な状況なこともあり、メディアであまり報道されていませんが、材木の在庫が急激に減少しています。

業界の方たちは、オイルショックならぬ「ウッドショック」とよんで、久々に会う方(工務店・設計事務所関係の方)とは「ウッドショック、そっちはどんな感じ??」みたいな話題で持ち切り。今回騒がれている「ウッドショック」はまさに柱や梁といった構造材が、急激な価格高騰&手に入らなくなっている状況です。

理由、というか背景をざっくり言うと、

アメリカや中国で住宅着工数が急増&DIYの急増(ステイホームで住空間に関心が寄せられるのは世界共通の動向のようです)

北欧の方でつくられてる外材が、アメリカや中国でチヤホヤされて、日本には入ってこなくなっちゃった

安い外材を使っていた大手パワービルダーがしょうがないので少し高い国産材を使うことに切り替えた

在庫していた国産材が一気に需要が高まり、在庫が枯渇

日本の山にしこたま木あるじゃん!っていっても、林業の担い手・後継者不足が深刻な昨今。そんな急に山からたくさん木を切って下ろすとか、ムリ!(※個人的には、これを機に日本の林業の就労環境をもっともっと改善して、林業を活性化できるような状況になれば良いのに!ととっても思います)

ウッドショック詳細情報20210416
職人御用達のホームセンター「建デポ」(船橋店)による情報(2021年4月16日付)


住宅に使う材木って一言にいっても、たくさんの樹種・種類・規格があります。柱や梁に使う構造材、それも杉やヒノキ、松、中には集成材と呼ばれる工業製品として規格化して作られた材料。羽柄材(はがらざい)と呼ばれる、間柱(まばしら)や垂木(たるき)といった、構造材より少し小さな材料。そして野地板(のじいた)や外壁下地に使われるような構造用合板、ちょっとした下地に使われるベニヤ、などなど。

&スエズ運河の事故も、影響があるようで。あのコンテナ船には、小麦粉やオリーブオイルなどといったものと同じように、製材して製品化した木材もたっくさん乗っているようで、それもあって、いろんな木材が手に入らない状況になっています。

ちょうど去年の今頃、コロナが世界的に蔓延して住宅業界に影響が出たのはトイレやキッチン、ユニットバスといった「住宅設備機器」でした。その多くが中国の工場で作られ輸入に頼っていることから、中国でのコロナによる工場停止などの影響があり、「トイレの便器がないので、完成した住宅を引き渡せない・そこで暮らせない」なんてこともありました。

今回は、柱や梁といった構造材なので、さぁ!これから家を建てるぞ!と、大工さんが腕を鳴らし意気揚々としている矢先に、材料ありません、状態。(極端に言うとね。)家を建てること全体の工程のなかで、はじめのほうの段階でストップしてしまう状況なので、正直、完成時期が、見えない、なんてことも。まだ工事が始まっていない現場についても、工事が始まる数ヶ月前に木材などの材料を発注して加工するのが常なのですが、今は材料がないので、それができない状態。(材木屋さんが発注を受けられない状況。)

、、、正直、この状況がいつになったら落ち着くか、だれにもわかりません。けれども、去年はマスクを買うのにドラッグストアに長蛇の列をなしていましたが、今は適正な価格でどこででも買える状況になっています。社会が必要としているものがあるなら、それを生産して提供するのが「商売」っていうものなので、いつかは供給が安定する、というのがこの業界の諸先輩方たちの意見。(その「いつか」がわかれば良いのですがね、、、)

コロナはもちろん、このウッドショックも、早く落ち着くことを願うばかりです。