ヒートショックを防ごう

暦も12月。今年も残すところあと1ヶ月となりましたね。これから気をつけたいのが、住宅内で起る『ヒートショック』です。

家の中で、暖かい部屋から寒い部屋に移動したときに、その温度差によって血圧が大きく変動します。それにより心臓や血管に負担がかかり、失神や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こすことがあります。このヒートショックにより亡くなる方は、毎年交通事故で亡くなる方の2倍〜4倍とも言われています。

特に今年は新型コロナウィルスで外出が控えられ、自宅に居る時間が長くなっている方も多いと思います。体が冬の「寒さ」の温度感に慣れにくかったり、そもそも運動量が減っていることによって心肺機能も低下している可能性もあるので、今年は特にヒートショックによる健康被害には気をつけたいところ。

今の家で、ヒートショックから身を守るために、究極は「断熱改修」(リフォームで断熱性能を上げる)ですが、まずはちょっとした工夫でできることから、やってみましょう。

各部屋の温度を、数値で知ろう。

家に温度計・湿度計を置いている方は多いと思いますが、それを、いろんな部屋にも追加して置いてみましょう。

まずは基準となるリビングに1台。
我が家ではリビングのテレビ台の上の、飾り棚に置いています。ちょっと離れたところからでも見えるくらいの大きさのもの。

あとはヒートショックが起きやすい、「洗面脱衣室」「トイレ」など。よく見るところに置いてみましょう。

我が家は、1階トイレは座ったときに正面にある飾り棚。無印良品のタグツールの温湿度計でとても小さなものですが、座ったときに見えるからOKです。(デザイン的にも悪目立ちしないので気に入っています)

洗面脱衣室は、壁掛け時計の下に掛けています。デジタルではないのですが、適温・適湿の範囲が赤く示されているので、その範囲内だと良い感じ、くらいの感じで見ています。

家庭用の温度計は多少の誤差がありますし、特に湿度計については5〜10%は誤差があります。(大学時代、建築環境工学の研究室だったので、高度な測定器を使っていました。その頃の経験上、そんな感じです。)数値はそこまでシビアにはならず、あくまでも相対的な感覚としておおらかにとらえてくださいね。

冬場であれば、長い時間居る居間は20〜24度くらい。寒くなりがちなトイレや洗面脱衣室などは、せめて15度以上にはなっているようにしたいところです。(ちなみに冬場の湿度は40%前後は確保したいですね)

寒くなりがちな部屋(特に1階の北側)を温めよう

1階の北側に、トイレや洗面脱衣室・お風呂。日本の住宅の間取りとして多いです。(一般的に、日当たりの良い南側にリビングを配置するからですね。)日照時間が短くなる冬の時期は、特にこのような部屋の室温が低いままになります。

トイレや洗面脱衣室など、滞在時間が短いから、とか、すぐにお風呂に入るから、と、寒いのをガマンして過ごしていると、その温度差(ヒートショック)は知らず知らずに体に大きな負担をかけてしまっています。

ドアなどと開けてリビングの温かい空気を循環させる

例えば、お風呂場。我が家は2階の北側にあるので1階よりはマシかと思いますが、それでもやっぱりヒヤッと冷えています。日中はお風呂場のドアは開けっ放しにして浴室と洗面脱衣室の室温差を和らげるようにしています。
また、入浴前は、浴室内の洗い場も熱めのシャワーをかけて温めておいたり、浴室のドアをあけて洗面脱衣室内を(お風呂場のお湯の温かさを利用して)温めたり、という工夫をしてみるのも良いと思います。

電気温熱機などの器具を使う

トイレはウォシュレットがあるので、電源の確保が可能な場合が多いと思います。インターネットで『トイレ 暖房』などと検索すると、トイレなどの小さな部屋用の小型のパネルヒーターや人感センサー付きの電気ヒーターなど、様々な器具が出ています。価格や消費電力、大きさなど色々あります。

GOOGLE画像検索より

人感センサー付きは省エネだし便利ですが、室温差がかなりある場合は適温になるまで時間がかかってしまうので、そういう場合は低温で常時暖房できるタイプがいいかもしれませんね。

リフォームや新築時は、ヒートショックを防げるように計画しよう

家全体の断熱性能などに配慮することはもちろんですが、1階北側の場所・トイレ・洗面脱衣室、といったヒートショックが起きやすい場所は、リビングとの温度差が緩和されるような計画も大切ですね。

窓周りの断熱性UPしよう

山暮らしの家 ハニカムブラインド

アルミサッシやガラスの断熱性能も大事ですし、加えて、カーテンやブラインドで断熱性能をあげることもできます。このハニカムブランドは、不織布の蜂の巣形状によって、空気層がつくられます。この空気層が断熱層となって、窓周りの断熱効果をあげてくれます。

我が家も最初は2階の北側にある洗面脱衣室の窓には、このブラインドは付けていませんでした。北側といえど、2階だし、60cm角程度の大きさでそこまで大きい窓でないから、ハニカムブラインドはいらないかなーと思っていました。(くもりガラスなのでカーテンなどは付けずにいました。)

山暮らし 温度計


ただ、初めての冬、窓まわりから冷たい空気がスゥーーーーーと。隙間風ではなく、窓まわりで冷やされた空気が室内を流れるんです。、、ということで、あとから追加で(笑)ハニカムブラインドをつけました。取り付け後は、このスゥーーーーーっと冷たい空気が流れる感じはなく快適に過ごせています(^^)

局所暖房を計画できるよう電源を確保しておこう

山暮らしの家 コンセント

洗面脱衣室など、足元に電源(コンセント)を計画しておきましょう。簡易的な暖房機器などを使うためです。コンセントはあとから増設するのは難しい場合が多いので、迷うようなら建築時・リフォーム工事時にやっておくのがおすすめです。

また、贅沢ですが、エアコンの設置を検討するのも一策。エアコン設置まではしなくても、エアコン用の電源と外壁穴を施工しておくのも良いでしょう。

内装の素材にも気を配ろう

トイレや洗面脱衣室など、床にタイルを選ぶ場合もあります。
トイレの床のタイルは、掃除のしやすいさもメリットがあります。洗面脱衣室の床のタイルはなんと言っても見た目がカッコイイ!外国の映画に出てくるようなパウダールームの雰囲気にもなります。

ただ、タイルの床は、冬場とても寒い(冷たい)です。これは材料の「熱伝導率」という特性によるもので、タイルのような素材は、伝わった熱をそのまま保持しやすいのが特徴です。冷えたタイルは冷たさ、温まったタイルは温かさ、が持続します。

トイレや洗面脱衣室にタイルを使う場合は、日当たりを上手く活用する(窓や部屋の配置計画が大切)とか、床暖房を入れるとか、何か工夫すると良いでしょう。


今年の秋は比較的暖かい日が続いていましたが、12月になり例年の寒さが到来。寒さに体が慣れてない今の時期は特に、ヒートショックに気をつけたいですね。まずはいろんな部屋に温度計をおいてみて、それぞれの部屋の温度の数値をみてください、なかなか面白いですよ(^ ^)!