建築ツアー・日光に行ってきまスタ(その3・最終回)
日光の帰り、那須方面へ立ち寄りました。
というのも、建築家・隈研吾さんの「馬頭町広重美術館」を見に行きたかったのです。
この作品、隈さんの建築家としての転機となった作品です。
外部に杉をふんだんに使った仕様。あえて塗装などしていません。
経年変化を受け入れ楽しむべくした仕様です。
竣工時から数年たった今、杉の色はグレーになっていました。
壁・屋根の杉の格子が美しいです。
中には和紙が用いられ、光が柔らかく空間を包みます。
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と、こちらの建物を見に行く途中に立ち寄った道の駅に、
栃木県のプロジェクトで建てられたエコハウスのモデルハウスがありました。
いわゆる「建築作品」と言われるカッコ良さはなんだけど、
住宅の平面プラン、外部(お庭やアプローチ)との関係、使っている材料、
全てが、ワタシのツボでした・・!
南側は、通り土間。そしてちょっとした縁側。
リビングには大きな吹き抜け。
(冬の寒さ対策に、ちゃーんと薪ストーブもアリ!)
玄関入ったところに配された階段は、
ササラがガッツリ!段板も一枚板。素敵すぎです~。
思いがけずに、素敵建築に出逢えたもんだから、
大興奮。
(帰ってきて写真を見たものの、ちゃんと撮れているものがあまりなかった・・・笑)
一番驚いたのは、この日はすごく蒸し暑い日でした。
なのに、おうちの中に入ると、心地よく涼しい。
エアコンはかけてなくて、いろんな窓が開け放たれていたのだけど、
きっと、建物の断熱性と、一番大きいのは湿度かもしれない。
内装に、木や左官仕上げを採用しているので、
なによりあの、じとーっとした感じがない。
暑がりなワタシでも、こんなおうちなら、
エアコンなしでも過ごせそう、と、
体感できました。
この住宅、いろんなところに温湿度計が置いてあって、
経年変化のデータをとっているみたい。
結果も楽しみですが、
また次回は、真冬の寒い時に、是非訪れてみたいところです。
(詳しくは、こちらのHPを。http://www.yaita-eco-house.com/index.html)
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と。ここからは、余談。
この日は、
・前々から、ずっとずっと見てみたかった、建築家の作品
と
・思いがけず出逢った、名も知れない住宅
という、真逆の建築物の、空間体験をしたのですが。。。
言葉では上手く言い表せないのだけど、
直感?感覚的なもの?感じたもの?として、
自分が目指したい建築、住宅の設計、は、
隈さんのような「作品」ではなく、
道の駅の「エコハウス」のようなもの、なんだ。と。
たしかに、「作品」と呼ばれる建築物は、美しい。
写真を撮っていても、どこをどう撮っても絵になる感じもあるし、
造形物としての美しさを備えた、凛とした空気感があります。
住宅の設計を生業として、約7年。
自分の人生のなかで、これからいろんなことがあったとしても、
ずっとずっと住宅設計の仕事をしていきたいという気持ちに、
確信と自信が持てるようになった。
と同時に、自分がこの仕事を生業としていくなかで、
どこを目指してやっていくべきか、
目標、というか、落とし所、というか、
そういうのが、仕事として設計をするがゆえに、見えなくなっていたような気がする。
でも、この日に、ある意味相反する建築物に
身をおき、空間体験したことで、
自分の居場所、というか、目指すべき場所が、
すこし見えた気がした。
何気ない日々の暮らしを、
丁寧に紡ぎ出せるような、
背伸びせずに、
穏やかに生活を楽しめるような、
そんな住宅を、創りあげていきたいなぁ。
そして、いつか、自分もそんな住宅で暮らしたいなぁ。
好きなコトで、飯が食える、ということは、
この上ないシアワセなんだけど、
でも、その好きなコトを自己満足で終わらせるのではなくって、
職能としての責任や役割を、真摯な気持ちで果たしながら、
よりよい住宅を、創りあげていきたいなぁ。
と、感じた夏の日でした。
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